市民運動が内包するセクト主義の「闇」

評論家天木直人氏の「日本国憲法9条」に対する思い入れはひとしお大きい。別の言い方をすれば、彼の辛口の政治評論、中でも日本の外交戦略の提言のコアーは、憲法9条を死守することに帰着するようだ。

筆者は、氏のこの考えに必ずしも賛同はできないが、以下に引用する天木氏の論説は、実は憲法9条の死守が是か非かという問題ではない。市民レベルの政治運動が、特に日本では陥りがちなセクト主義の闇を直視せよという警告と受け取る。

実は、権力を持たない者の政治運動がセクト主義の闇に陥り、その力を十分に発揮できず、やがて挫折していった歴史がある。それは何時頃からなのか、日本にだけより強く現れる現象なのか、そろそろ突き詰めなければならない問題だろう。だからといって、直ぐに解決の方法が見つかるものでもないだろうが...。

[既成権力・・市民運動のエネルギー・・カリスマか神聖か]、ちょっと禅問答めいているが、この三つ巴の力関係のなかに解きほぐす糸口があると筆者は考えている。

□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】
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□■ 天木直人メールマガジン2014年10月9日第1061号

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  憲法9条ノーベル平和賞が贈られる前に書いておきたい

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 本当にノーベル平和賞憲法9条に贈られるのだろうか。その結果は10日にも判明するという。
だから、その前に書いておきたい。贈られても、贈られなくても、結果が判明してからでは何を書いても
無意味となるからだ。

 結論から言えば、受賞できれば喜ばしいことでありそれを歓迎したい。それは安倍政権に対する強烈な改憲抑止になる。実際のところ、もしノーベル平和賞委員会がノーベル平和賞をこのタ イミングで憲法9条に贈る決定をしたとしたら、その理由は安倍首相の改憲の動きを批判することのほかに考えられない。

 しかし、受賞した場合、手放しでこれを喜べない理由がある。それは、この動きをつくるきっかけとなった一人の主婦とそれを支援してきた実行委員会が信用できないからだ。

 彼らが善意でこの運動を進めて来たことを私は疑わない。しかし彼らには、他者を排斥する動きがある。いや、もっと正確に言えば、この運動の政治的な意味の大きさと受賞した時の政治的な影響力の大きさがわかっていないと思われるからだ。

 万が一ノーベル平和賞憲法9条に与えられとすれば、誰がその名誉は誰に与えられるのか、それを代表して誰が受賞に行くか、などで大混乱が起きるだろう。

 それは安倍首相に国民を代表して受け取る資格があるか、という問題にとどまらない。憲法9条を守ろうとしてきた護憲派の人たちの間で手柄の奪い合いが起きる。

 それを克服する力量も覚悟も、この神奈川の主婦やそれを支える実行委員会の人たちにはない。

 もし今度の選考で憲法9条ノーベル平和賞から外れるなら、これをきっかけに来年以降は、護憲派たちが一致団結して協力して臨まなければいけないが、おそらくそうでならないだろう。

 憲法9条ノーベル平和賞を求めることが偉いのではない。憲法9条そのものが偉いのだ。

 そして日本国民に憲法9条を本当に世界に広めようとする総意があるなら、無理をして求めなくても、ノーベル平和賞のほうから頭を下げてもらってくれと言ってくるはずだ。

 憲法9条ノーベル平和賞などよりもはるかに尊いものである。日本国民は、まずその事を、日本国民と日本の総理にわからせなければいけない。

 その努力が出来なければ憲法9条は守れない。

 いまはノーベル平和賞どころではない事態がこの国の首相の手で行われている(了)


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