政治の地殻変動は、地方から動き出さねばならない

安部首相が仕掛けた2014年の年末総選挙は、議席数で反体制側が大負けした。予想されたことだった。共産党民主党にはいくらか語るべきものがあったようだが、それは自慢話に過ぎず、大勢に影響を与えるものではなかった。

残念なのは、小沢一郎率いる「生活の党」が2議席に縮小し、政党要件を満たさない事態に追い込まれ、その政治活動に大きな制約を課されてしまったことだ。小沢氏のことであるから、何とか難局を切り抜けるに違いない。しかし、それが凶と出るか吉と出るかはまだはっきりしない。私個人は、彼の保守中道としての不動の政治姿勢を断固支持している。

その後、地方首長選挙がいくつかあった。沖縄県知事佐賀県知事の選挙である。いずれも自民党公明党推薦候補を反体制派の候補が破るという快挙を演じた。

問題は、彼らの今後の活動であろう。中央政権といかなるスタンスをとるのか、地方政治をどれだけ根本的に住民本位に立て直すのか、ということが中心となる。それは、1,2の地方政治の問題ではなく、日本の政治全体に風穴を開ける可能性を秘めており、さらに今後続くであろう市町村長、県知事選挙に大きな影響を与えるであろう。

その点、沖縄の翁長新知事の動きが鈍いのが気になる。一方、佐賀・山口新知事の動きはこれからであるが、注目に値する言動が出てきた。佐賀・山口新知事には大いに期待したい。

「佐賀」といえば、個人的な話になるが、TVドラマ「おしん」の影響があってきわめて旧体制的な土地柄というイメージを持っているが、その地から日本に新しい風を送りだす事態が整ったのではないか。 以下に転載したものは、山口新知事に対して同様の期待と叱咤激励の気持ちを込めた天木直人氏の記事である。


 □■  山口新佐賀県知事に期待される事 
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 沖縄の新知事に対してもそうだが、住民から選ばれた首長に意見を進言するのは誠に僭越であることを承知の上で書くことにする。

 今度の佐賀県知事選挙における山口候補の当選は、安倍・菅政権の暴政に待ったをかけたという意味で、私にとっては快挙だ。

 そもそも前の古川知事の辞め方が悪すぎた。玄海原発推進のやらせが見つかってとっくに辞職ものだったのにとぼけて居直った上に、原発再稼働賛成という置き土産を残して国政に色気を出して転じ、同じ総務省の子分である樋渡という官僚を候補者に指名した。

 そんな古川を衆院選で勝たせ、樋渡を後釜にしようとした安倍・菅政権の増長ぶりは噴飯ものだった。劣勢が伝えられていた樋渡を、安倍・菅政権はあらゆる手を使って当選させようとした。

 それでも勝てなかったのだ。 だから快挙なのだ。

 しかし、山口という候補者はそれほど期待できる人物なのか。私にはまったく見当がつかない。同じく総務省出身の官僚だ。総務省の官僚を腰掛に知事選にでるような者にろくなものはいないというのが通り相場だ。樋渡が悪すぎただけではないか。保守分裂に助けられただけではないか。なによりも農協改革反対のJAの支持に助けられただけではないの
か。

 山口新知事の評価が問われるのはこれからだ。そこで私が注目したのが山口新知事が発した次の言葉だ。

 「佐賀のことは佐賀で決める」

 この言葉について、きのう1月13日の東京新聞こちら特報部」がデスクメモで次のように書いていた。

 「・・・国家だ、宗教だと『長いもの』に振り回される時代、最後のとりでは自己決定の意思だ。西で吹き始めた地域主権の風を一日も早く。東にも運ばねば・・・」

 選挙で勝っただけでは風は吹いたとは言わない。沖縄知事選挙の勝利は、いまだ風になっていない。

 そこで私は山口新知事に進言したい。

 どうだ。山口新知事は、日本で最初の風を佐賀から吹かせたらどうか。本物の地域主権という風を。

 安倍・菅政権が続く限り、山口新知事が中央に歓迎される事はない。どうせ迎合されないなら、迎合するのではなく戦ったらどうか。選んでくれた住民の意思を大切にするなら戦うしかない。

 官僚出身の首長は中央政府に迎合するものと相場は決まっている。これまではそうだ。しかし時代の流れはもはや完全に変わりつつある。

 官僚出身の首長が住民の支援を受けて本気で中央政府と戦えば、これ以上手強いものはない。

 その時こそ西から地方主権の風が吹く時だ。その風は、東どころか、瞬く間に全国に広がる。 沖縄新知事ものんびりしていられなくなる。

 地方から、この腐りきった日本の政治を変えていく。

 その先導役を山口新知事に期待したい。

 これほどやりがいのある挑戦の機会に恵まれることは滅多にない。

 このメッセージが山口新知事に伝わるだろうか。それに即応する感度を山口新知事は持ち合わせているだろうか
(了)

天木直人メールマガジン2015年1月14日第38号)

□■   山口新佐賀県知事に期待されること(続) 
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 引き続き私は山口新佐賀県知事の言動に関する記事を注視している。きょう1月15日の東京新聞が山口新知事の就任記者会見の模様を報じている。オスプレイ配備は白紙にするが玄海原発再稼働は容認すると。

 本当にそんな事を言ったのか。

 よく読むと、必ずしもそうは言っていないようだ。

 言ったのは「先入観なしで問題に当たる。私の県政は前の県政ではない」であり、「県民一人一人の目線で県政の再点検を(県庁の職員に対して)お願いしたい」ということのようだ。

 これらの言葉を、当選時の「佐賀の事は佐賀で決める」という言葉と合わせて考えれば、試されるのは山口新知事だけではない。彼を選んだ県民もまた覚悟を求められるのである。彼をトップに迎える県庁の職員もまた県民に仕えるという意識が必要だということだ。


 首長が県庁の職員と一体となり住民の為に働く。住民もまた、すべてを首長にまかせ、その首長の言動の是非を論じるのではなく、住民の思いを首長に伝えともにその実現に向かって協力していく。つまり首長と職員と住民が一体になって地方を作っていく。それは、とりもなおさず、首相や中央政府の官僚が国民に敵対している今の日本の政治の対極にあるものだ。

 地方主権のモデルケースを、佐賀県から作り出して全国に波及させてもらいたい。

 ここまで安倍政権が反国民的になっている時だ。ここまで日本国民が疲弊し、絶望している時だ。

 これまででは出来なかった事、考えられなかった事が、許される時である。いや、許されるどころか、誰か一刻も猶予もなく始めなければいけないことだ。

 佐賀県発のあらたな政治が日本を変えるきっかけになることを期待する(了)

天木直人メールマガジン2015年1月15日第44号)



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