福島の放射能被曝患者の増加 (1)

福島でのがんの急増傾向に対して、真剣に取り組まなければならない時に来たようだ。まだまだ、その始まりに過ぎないと思われるが、何ができるかを今後深めていきたい。進展しない「被曝者手帳」制度を視野に入れつつ、情報収集と、市民が取り組むべきポイントを深めていくつもりである。

かつて、広島・長崎への原爆投下から10年以上の長きにわたって、放射能被曝の情報が隠されていた。主に連合軍GHQによる情報隠蔽工作によるものであるが、日本政府もそれに追従したので、被曝実態は国民に隠されてきた。多くの被曝者が、軽度・重度の疾患を患い、死んでいったにもかかわらず、国民はそのことを知らず、また被曝者自身もそれが放射能によることを知らないでいた。このような正義の道から外れた状況下で、彼らの病は「原爆ぶらぶら病」と呼ばれて、疎んじられていた。

いま福島で起こりつつある事態は、かつての「原爆ぶらぶら病」症候群に似ている。これは医療情報の隠蔽によるものだけではない。日本全国のインテリが行っている恥知らずな宣伝、さらに中央行政府と福島の地方行政が進めている行政指導がこのような症候群を助長しているのである。

福島を第二の「ぶらぶら病」症候群の地にしてはいけない。そうさせないために、腹をくくった取り組みに着手しなければならないと思う。その盛り上がりを期待したい。

以下、武田邦彦(中部大学)のブログから「福島での急増するがん」を警告した最新の記事を引用しておきます。

2014年11月26日

福島で急増するガンと心疾患

「fukusima20141120919.mp3」をダウンロード
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福島の汚染地域で、子供の甲状腺がんとともに大人のガンや心疾患で死亡する人が急増している(月間「宝島」などで多数報告されている)。そこに居住している方がおられることを考えると心痛むが、事実は事実で大切である。

かつてダーウィンが「事実を知るには勇気がいる」と言っているが、NHKやその他の放送局が政府側について、国民に事実を知らせなくなった昨今、私たちは自分自身や家族、子供を守るために事実をしる勇気を持つ必要がある。

被爆から3年以上をへた福島では、1)子供の甲状腺がん、2)大人の心臓疾患、そして、3)全体的なガンの増加と平均寿命の低下、が見られている。整理の仕方によってまだはっきりしないところもあるが、宝島が調査したデータのうち、学問的にしっかりしているデータを次に示した。


【図1】2010年 セシウムの土壌汚染密度分布と「急性心筋梗塞」の年齢調整死亡率、
【図2】2012年 セシウムの土壌汚染密度分布と「急性心筋梗塞」の年齢調整死亡率

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これは放射性セシウムで汚染された地域の汚染度と、そこに住む人の心臓疾患の関係を示したものだ。このような状態のときに、「医療、予防」としてどのように考えるかを整理しておきたい。

1) これまでの知見と一致しているか、それとも反しているか?
2) データの信頼性は「注意」の段階か、「警告」か?

科学的に得られるデータはつねにある程度の「不確かさ」を持っている。だから御嶽山の噴火の場合も同じだが、科学的に見る場合と、「社会的」に見る場合と違う。このブログで再々、掲載しているが、「医学者と医師」、「研究者と教師」の関係でわかるように、「医学者は純粋に科学の立場で、医師は社会との合意や責任に置いて」データを解釈し、発言する。

「研究者は自由な立場で研究でき発信できるが、教師は学問的に確定したものしか教えることができない」ということだ。教師が最新の学説を説明する場合は、かならず「自らの意見によらず」、両論がある場合は両論を同時に教えなければならない。つまり社会は危険回避や判断が必要とされ、生徒は正しい学問を教えられる権利を有するからである。

福島のガンや心臓疾患の場合、医学者や科学者はいろいろと解釈できるだろうが、このブログが「社会的接点があるブログ」という立場でこのデータを見ると、
1) 1年1ミリの被曝限度や1年5ミリ以上の職業的被爆による白血病に労災が適応されたと同じように、「従来の知見と合致する」。つまり、1年1ミリを越える被曝者が福島には多いので、疾病の発生が危惧されること、

2) データの信頼性から言うと、「やや相関性があるように見える」と言う段階で、これが「人の健康」に関係がなければ静観すべきであるし、「人の健康」に関することなら警告を出すべきである。この場合、人の健康に関係するので、福島県や政府は住民に移動勧告などをするべきである、

3) 福島に広範囲な健康障害が発生していることを考えると、他の原発の運転を一時、凍結し、状態が判明する2025年ぐらいに再判定をするのが望ましい。危険かどうかわからない時に同種のことを社会的にするのは人道的立場から許されない。特に自民党自由主義を標榜しているので、日本国民の選択の自由を尊重するべきである。

放射線の被曝によってなにが起こるかは科学的に不明なことが多いのをこのブログで再々、指摘しているし、わたしは多くの本を書いてきた。現在の福島の状態は「これまでの知見の通り、被曝による健康障害がでつつある」ということを示している。今後、これが拡大するか、鎮静するかも私たちの頭脳と経験では判断できない。

しかし、少なくとも「被曝は大丈夫」といっている人は「事故時の法令に基づく発言」を越えることがないように警告したい。また法令を越える発言をして日本国民に被害をもたらした専門家、役人、マスコミは健康障害に対して物心両面からの補償と償いをする準備を始めてもらいたい。

私たちは法令を超えて人を傷つける権利を有していない。特に福島の医師は県民に警告を発して欲しい。医師は政府や自治体と歩調を合わせる義務は全くないのだから。

平成26年11月20日




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