「アジサイ革命」にもっとパワーを!

日本の6月は、政治の季節となりました。6月22日、26日そして、29日。国民の政治行動と国会議員の政治の旗を明示する日が、連続しています。
原発再稼働反対、消費税引き上げ反対、それにTPP加盟問題、これらは、現象的に一見ばらばらのように見えますが、今一つの方向に収斂しようとしています。根源的な暴政の是正、つまり倒閣運動へと収斂しているように見えます。人々は、といっても既成のマスコミを除外して、今起こりつつある、かつて無かった状況を「アジサイ革命」と、期待感をこめて呼んでいます。
アジサイ革命」、いい名前です。2010年から2011年にかけて、チュニジアでおきた反政府デモをきっかけとした市民による政権転覆は、「ジャスミン革命」と呼ばれ、これが近年のアラブの春の出発点になりました。また、ここで市民の運動を結びつけたツールがインターネットであったことが、世界の関心を呼び、このツールを使った市民革命の原型となりました。
匿名の諸個人が仮想空間で情報交換するインターネットというツールは、社会的媒体として多くの欠陥を秘めているはずだが、ここではうまく機能したのでした。日本で今起こりつつある「「アジサイ革命」も、第2、第3の「ジャスミン革命」になるべきだし、その可能性を大いに秘めていると直感できます。そのためには、この運動にもっと力を与えなければなりません。
明日6月29日夜、首相官邸を取り巻くデモが予定されています。私も参加します。天木直人氏も自身のブログで参加を公言しています(「明日29日、総理官邸を取り囲む原発反対デモに参加しよう」http://www.amakiblog.com/archives/2012/06/28/#002308)。もっと多くの人々のデモへの参加が必要です。政治家、特に、うたれ強くブレない政治家・小沢一郎の飛び入り参加を要請します。彼には、かつてのフランスの思想家サルトルのように、政治思想・信条を行動で表現して欲しい。
以下は、ブログ「反戦な家づくり」(http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1181.html)に掲載された小沢一郎への6.29デモの招待状です。的確な情勢判断に基づいた文章になっています。彼の参加が実現することを期待して、以下この招待状を引用します。


拝啓小沢一郎様 <官邸前への案内状>

拝啓 小沢一郎

届くかどうかも分からないお便りを書きます。もし目にされることがあれば、ぜひご一読下さい。
私は、2009年に大久保さんたちが逮捕されたのを知って、こんなに弾圧されるのならば と陸山会に入会した者です。

6月22日の金曜日、私は関西電力本社前にいました。
律儀な主催者発表では最終的に1547人が参加して、大飯原発の再稼働反対を訴えました。この人数でもたいへん熱気に満ちた集まりでした。

同時刻、首相官邸前では4万5千人が集まり、ひたすら再稼働反対を叫び続けていたのは、耳にされたことと思います。三宅雪子さんはじめ小沢さんと志を同じくする国会議員の方々も多数参加されていました。

60年安保は私の親の時代であり、70年安保すら子ども時代にテレビで見た記憶しかない私にとって、これほどの人が政治に関わり、一つの行動に集まっているところを見るのは初めてです。しかも、組合などの動員ではなく、ツイッターなどのネット情報で三々五々集まってきたのです。

選挙という手続きによって政治権力を付託されている政治家の方々が、このような「烏合の衆」をどのように見ておられるのか、私にはわかりません。よく議員の方から聞くのは、市民が運動するのであれば、自分の選挙区の議員に働きかけるのが一番効果的だ という話です。
たしかに、それも一理あります。しかし、私はそれはちょっと違うと思うのです。

Power To The People
和訳すれば 主権在民 です。
主権在民という言葉は、イコール選挙権というイメージをまとっています。しかしながら、主権とはそのような限定されて与えられるものではありません。そもそも、持っているもの です。
それを行使する権利と責任を負っている、感動的なまでに重たいものです。

今の多くの日本の国民は、その主権を自覚していません。小沢さんの言われる「自立と共生」の、大前提が存在しません。
主権を自覚しなくても生きていける幸せな時代があった、ということもその一因です。他方、来るべき今日のような時代に向けて、自覚を意図的に麻痺させられてきたと言うことも事実だと思います。

その何よりの証拠が、福島第一原発の事故の後、ドイツやフランスや米国では何十万人のデモが起きているのに、当事者である日本では10分の1も集まらないのです。かと言って原発に賛成しているわけでも、福島の事故を忘れ去っているわけでもありません。
デモや集会に行くのは過激派や特殊な人で、そんなところに行ったら友達なくして会社をクビになる と恐れているのです。

いくらなんでもそりゃないだろう と笑われるかもしれません。しかし、毎日の暮らしをギリギリに維持している庶民の切実な感覚なのです。かく言う私も、2005年に書き始めたこのブログで自分の正体を明かす決心をするまでに何年もかかりました。

こんな日本で、何よりも大切なことは、主権在民を実感することです。「言いたいことは大手を振って言っても良いんだ」と気がつくことです。
そして、ついにその時がやって来たのです。

流れは6月15日、官邸前に万余の人びとが集まったことではっきりを変化を始めました。誰が名付けたのか「紫陽花革命」と命名された、再稼働反対、反野田政権の意志をもった「烏合の衆」は、自分たちの「力」を自覚し始めました。そしてその熱は、確実に伝染していきました。
そして、わずか一週間後、あの4万5千人の群衆が官邸前に押し寄せたのです。

その意味で、紫陽花革命は、単なる反原発運動ではありません。再稼働反対というシングルイシューに見えますが、むしろ野田政権の異常政治にたいする怒りが、再稼働問題で噴き出したというほうが実体に近いのではないでしょうか。
被災者への同情や放射能への恐怖だけではなく、悪政への怒りを契機にした国民の覚醒です。その意味を、小沢さんはじめ、心ある政治家の方々にも分かっていただきたいのです。

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本日26日の午後、全国民が国会を固唾をのんで見守っていました。57人という人数が多いのか少ないのか、私には判断がつきません。正直に言えば、国民との約束を守る代議士がたった57人・・・という気持ちですが。
それでも、多大なご苦労の末の結果であろうと想像し、感謝している次第です。

私は、反対57人、棄権等16人にとどまった理由は、約束や責任感の欠如だけではないと感じています。国会議員である以上、次回の選挙のことを考えるのは致し方ない部分があると思います。今回の結果は、「増税に賛成してでも民主党にしがみついていた方が当選できる」と判断した人が多数いた と言うことなのだろうと思います。

なぜそのような判断をされたのでしょうか。それは、主権在民と思っていないからです。正確には、自分の選挙区の有権者に対して「彼らは主権在民と自覚していない」と認識しているからです。簡単に言えば、地元の有権者をバカにしているからです。

有権者をバカにする議員も問題ですが、確かにバカにされても仕方ない、反省しなければならない部分は我々国民の側にもありました。議員のウソを見抜くどころか、そもそも自分の選挙区の政治家を知らない という人が沢山います。また、どんな非道い政治をしていても、「しかたない」と諦めてきました。

中には諦めずに声を上げる、いわゆる市民運動家の人たちもいました。反原発の運動は、昨年3月11日までは、まさにこうした人びとによって細々と続けられてきました。
しかし、市民運動はシングルイシューに自らを限定し、政治を嫌い「特定の政党とは関係ありません」というのが決まり文句になり、誤解を恐れずに言うならば自己満足の世界に陥ってしまうことも多かったと思われます。
政治家は政治家で、市民運動を軽視し取るに足らないものと考えてきました。

(中には政治家へのステップとして市民運動を利用して首相にまで上り詰める人もいるようですが、これは例外中の例外です)

無関心、あきらめ、孤立と自己満足 そうした国民の姿勢が、いま変わりはじめました。
逆説的ではありますが、あまりにも無理無体なことを立て続けに、しかもあからさまにやってくれた野田首相のおかげかもしれません。

いずれにしても、一度目覚めた日本国民は、徐々にであるか急速にであるかはわかりませんが、声を上げます。主張をします。
そしてもし、そのわき起こる力を実感し受け止める政治が存在しないとき、政治を乗り越えて大きく拡大していくでしょう。まさにジャスミン革命がそうであったように。

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もう一つ、いまこそ小沢さんに国民に直接語っていただきたい理由があります。
野田政権が 「なぜ」 ここまで無体なことをするのか、ということを国民は理解していません。財務省の差し金 程度に考えています。

しかし、財務省のコントロールは今に始まった話ではありません。野田政権のあまりにもむき出しの強引さは、官僚コントロールだけでは説明がつかないと私は感じています。この、日本の政策決定の奥の院は、それに徹底的に痛めつけられた小沢さんが一番ご存じです。
本当の敵はどこにいるのか、何を考えているのか。それを国民は知る義務と権利があります。

野田首相は、5月の日米首脳会談以降、確実に変わったと私は思っています。伝統的な対米従属から、新たな段階に踏み込んでしまいました。
特に防衛に関しては、防衛大綱の「動的防衛力」を拡大解釈し、アジア太平洋地域の米軍の肩代わりを自衛隊がするとも言える約束をしました。それに呼応するかのように、原子力基本法に「安全保障に資する」という文言が加えられました。安全保障が軍事を指すことは国際的な常識であり、核武装にむけた準備であることは論を待たないと思われます。

今回の消費税増税についても、こうした「新日米関係」が背景にあるのではないかと懸念、いやほぼ確信しています。そして、そうした危機感をもっている政治家がどれだけいるのか ということを心配しています。

再稼働問題をきっかけにして自覚した国民に、何が問題なのか、小沢さんの経験と見解を明らかにして下さい。ネットでのインタビューももちろん良いのですが、熱を共有するライブでこそ化学反応が生まれます。

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数週間前では早すぎました。数週間後には手遅れかもしれません。
いま、このタイミングで、小沢さんに官邸前の紫陽花革命の現場に立っていただきたいのです。

国民の熱を肌身で感じていただきたい。
そして、今ならば、その声を小沢さんは受け止めることができるはすです。

6月29日(金)夕方、首相官邸前にサプライズで登場して下さい。
そして、自覚した国民に直接語りかけて下さい。
自立と共生の生きた姿をご自分の目で確かめて下さい。

繰り返しますが、今のタイミングを逃したら、小沢さんという政治家とわき起こる民衆革命の幸せなマッチングはなしえないのではないかと危惧します。

紫陽花革命の力を背景にして、変質民主党という座敷牢から飛び出し、存分に豪腕を振るって下さい。もちろん、集まっている民衆の中には小沢さんが大嫌いという人もいます。しかし、そういう人にこそ、肉声で語りかけて下さい。すぐに大好きにはならないでしょうが、思い込んでいたのとはちょっと違うぞ ということに気がつくでしょう。

政治は生活
自立と共生
国民の生活が第一

こういう言葉を紡ぎ出す小沢さんという人間を、国民の前にさらけ出して下さい。


以上、勝手ばかり申しました。
よろしくお聞き届け下さい。

               
 2012年6月26日
 山岸飛鳥

Este artículo se va a traducir en castellano bajo el título: ¡Más energía a la “Revolución de Hortensia”!


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