自民党の選挙公約:うそつき体質の再現


自民党参院選公約は、原発再稼働に大きく踏み出した。選挙で勝つ自信のなかった昨年暮れの衆議院選挙では、自民党も「脱原発社会」をにおわせていた。それは当り前だった。ほとんどの政党が「脱原発」を掲げていたので、自民党だけが突出するわけにいかなかったのだろう。

本当に国民の大多数の支持を得たとはとうていいえない選挙結果でも、自民党議席数で圧勝してしまった。とたんに、「憲法改正」と「原発再稼働」にかじを切り始めたのだ。今度の、7月参院選自民党「公約」でそのことははっきりとした。

東京新聞」は、リベラル紙らしくこんどの「公約」を次のように厳しく批判した。

[以下引用]
 公約は再稼働を前提に「地元自治体の理解が得られるよう最大限努力する」と踏み込んだ。安倍内閣の成長戦略「日本再興戦略」に原発再稼働が盛り込まれたため、それに合わせたのだろう。
 しかも、衆院選で公約した「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」との文言は全く抜け落ちている。
 再生可能エネルギー導入に死力を尽くした上での方針転換ならまだしも、舌の根も乾かぬうちに原発依存に転換するのは有権者を裏切る行為だ。二〇〇九年衆院選マニフェスト違反の消費税増税を強行した民主党とどこが違うのか。
…….
 今年に入り静岡県や名古屋、さいたま両市など主要首長選で自民党推薦候補が相次いで敗れた。安倍内閣の支持率は依然高いが、地域と向き合わない姿勢が、これまで自民党の強みとされていた地方での支持離れにつながっているのではないか。
 選挙のときには甘言を弄(ろう)し、政権に就いてしまえば、あとはやりたい放題が続くのなら、有権者の政治不信は高まるばかりである。
東京新聞社説 2013年6月21日(自民の原発公約 「変節」は見過ごせない)
[以上引用]


だからと言って、今度の参院選挙で自民党に大きな打撃を与えることができるかといえば、それはちょっと怪しい。

安倍政権の外交、経済政策のパフォーマンスが国民にかなり支持され始めているらしいからである。そのようにマスコミのコメンテーターが言うからである。つまり、まだ、内実の幻想性が国民に実感されていないということだ。特に、「原発輸出」のセールスマン・パフォーマンスを除けば、その外交方針は筆者も評価している。経済政策は全然だめで、「アベノミックス」なる宣伝に幻想を抱く国民はほぼいないのではないかと思われる。

反自民の「受け皿」はやはり、できていない。さらに、「オリーブの木」のような野合も生まれないようだ。何はさておき、「維新の会」と「みんなの党」が破壊的役割を果たしている。

選挙は国民の「自覚」の結果――開票の不正操作がないと仮定すれば――であるから、その点で「打撃」を与え得るかどうかは、やはり怪しい。しかし、今回はどうしても、手をこまねいているわけにはいかないのである。






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