副島隆彦氏のぶれない戦略を傾聴する


副島隆彦氏は、インターネット上と出版界においてエネルギッシュにして異彩を放つ好人物である。其の言説は、ユニークにして「先端的」である。3.11福島原発事故の直後、マスコミ人も、もちろん言論人も、現場を遠巻きにして近寄らず、テレビ報道にあーだこーだ言っている時に、いち早く福島第一原発の玄関先に駆けつけた人物である。彼のその時の「日本は救われた、神に感謝!」というメッセージを忘れることができない。

彼は、「重たい掲示板」というちょっと閉じた意見交換用のブログを主催している。其の中で、今、自らのお「弟子」さんである田中三郎氏にちょっと批判され、それへの反論というか「たしなめ」の記事を書いている。二人の関係には興味はないが、この記事の中で、副島隆彦氏は、中国・朝鮮に対する我が国のスタンスと日本の平和主義の意味を熱っぽく説いている。

耳を澄ませて傾聴すべき点があるので、全文を以下引用する。

[1640]下 ↓の 田中三郎氏への 返事
投稿者:副島隆彦 投稿日:2014-08-18 08:48:32


副島隆彦です。 今日は、2014年8月18日です。

 私たちの会員の 田中三郎氏から、以下↓ の投稿文の とおり、私への質問が来ている。 田中氏は、会員番号2682番で、2004年からの古い会員です。 ですから、私は早い頃からずっと会員として私たち学問道場の活動を支えてくださった人には、恩義があるから、すぐにお返事をしなければいけないと思いました。それで急いで書きます。

 まず、1.私、副島隆彦が、「中国人と韓国人を贔屓にする」の贔屓(ひいき)についてですが、私は、人種差別、国民差別をしません。どこの国にも、愚か者( 日本では、産経新聞や、WILL(ウィル)誌に書いて、人種差別扇動をしてる者たち)と、優れた者たちがいます。

 私、副島隆彦は、「アジア人どうし戦わず」の標語を掲げて、戦争だけはしてはならない、戦争をさせられるように、巧妙に仕向けられる動きに対して、日本国民にいち早く警告を発する係を自任しています。 私には、自分が贔屓にしている、芸能人や、レストランとかもありません。

2.次の、×「 中国人には、靖国参拝で酷い内政干渉され」ですが、田中さんは、中国、韓国、およびアメリカ合衆国、そして、ヨーロッパ諸国が、 「日本の首相の靖国参拝を、今も、許さない」と厳しく表明している事実を、理解すべきです。

 彼らは、旧連合国側に立っていて、それがそのまま、今の the U.N.(これを、連合諸国と訳します。×国際連合=国連 は誤訳です。)の世界体制です。 この連合諸国との、約束(契約、条約)で、日本国は、極東軍事裁判で、連合国側が、裁いた戦争犯罪人東條英機首相たち)の裁判を、あとで否定したり出来ない、と、サンフランシスコ条約で日本も認め、そのあと、the U.N.( 連合諸国)に、日本が加入するときに日本は承認しています。

 ですから、現職の日本首相が、靖国参拝して、合祀している戦争犯罪人たちまで追悼する(安部首相ら、ザ・カルト・オブ・靖國たちは、それを、「尊い戦死者を尊崇(そんすう)する」と呼んでいる)ことを、国際社会= the U.N. は、認めません。

 かつ、昭和天皇は、世界を敵に回すことをしてはならない、と判断して、1978年以降、靖國神社に参拝しなくなりました。

 田中さん。首相および閣僚たちの靖国参拝への反対は、今の世界秩序への反逆であって、それを各国が批判することは、「内政干渉」ではありません。  このことを、私は、副島隆彦は、『靖国問題と中国包囲網』(ビジネス社、2014年2月刊)で詳しく書きました。読んで下さい。 その上で、再度、疑問の点を、私に質問してください。

3.「韓国人に(言われるのは、日本政府および日本軍は)慰安婦問題で(売春の強制を、慰安婦たちに)組織だってさせていたとか・・」 と、田中さんは、書いている。

 韓国政府と韓国国民が、日本を、この「従軍慰安婦」問題で、怒って批判しているのは、慰安婦=性奴隷 たちを、日本政府が、管理して、日本軍が、たとえば、コンドーム2万箱とかを、日本軍の管理下で、軍が建築費用も出して作られた慰安所 で使わせた、とかの事実を日本政府が、認めている (証拠の公文書が残っている)のに、日本の右翼たち(田中さん、あなたが、影響を受けている人たちのことです) が、「日本は、何も悪いことはしていない。慰安婦たちは、自分の意思で、戦場売春婦をやって、お金を取っていたのだ。強制連行の事実はない。 兵士の性欲問題は、世界中同じだ」と、居直るものだから、それに対して、国際社会を味方にとって、日本政府を非難している。

 事実として、韓国人(他に、日本人も、中国人もいた)の慰安婦たちは、自分の両親が、女衒(ぜげん。貧しい家の女たちの斡旋、周旋、仲買人。英語では、camp follower という)を介して、ひとり当時、300円( 今で言えば、300万円)ぐらいで、売られてきて、醜業婦(しゅうぎょうふ)をやらせていた。 下級兵士は、一回2円 (最下級の商業軍人で月給は16円だった)、将校で20円。将軍クラスで、一回、80円(上玉=じょうだま=の値段) だったらしい。人間には値段があります。

 韓国国民もこういうことはよく知っている。
あのかわいそうな慰安婦たちは、両親が売ったのだ、と。そして、今の売春婦たちも、かわいそうな女たちなのだ、と。

 日本でも、東北地方の貧しい農家の女たちが、ひとり300円ぐらいで売られていた。村役場が仲介したりしている。人間は売買されるのです。

 田中さんは、ご自分の、その意味のよく通らない文で、それは 日本のごくごく庶民の書く文章でしょうが、 「韓国人には(日本政府は)慰安婦問題で組織だってさせていたとか、まことに聞くに堪えないことばかり(私たち日本人は)言われ」と、 田中氏自身が、「まことに聞くに堪えないことばかり」と、書いている。何が聞くに堪えないことか、副島隆彦に、再度、文献を出典明示で、書き写して、書いてきて下さい。 それを、皆で、一緒に検証しましょう。この世に、聞くに堪えないことなど、ありません。 そういう感情語で済まさずに、事実(真実)を、すべて包み隠さず、表に出して、それから議論しましょう。

 田中さん。その作業を今からやってください。 私、副島隆彦には、隠さなければらないような不都合な事実は全く有りません。調べて、多くの事実が、どんどん出てきたら、田中さん。あなたの脳が、ギリギリ軋(きし)んで、おかしくなってくるでしょう。田中さん。あなたが気に入らない、顔を背(そむ)けそうな真実がたくさん出てきますよ。その時に、真実から逃げないように。

3.「挙句の果てには、天皇陛下があやまらなければ、許さないとか」と書いていますが、その出典を挙げて下さい。日本のどの新聞や雑誌の、いつの、どこに書いてあったのですか。

4.「一日本人として情けない限りです。」  ですが、情けないことなど何も有りません。 すべてを明らかにする、という態度だけが、優れた人間のやることです。「情けない、情けない」と何を、情けながって、それで、自分たちは、立派な民族だとか、そんな卑しいことはしない、誇り高い日本民族だー、とか虚勢を張りたいのですか。

 過去にみっともないことをしたことを、暴かれて、それをいつまでもいつまでも言われることが、「情けない」ということなのでしょう。

5.田中さん。1910年から1945年まで韓国は、「日韓併合」で、日本の植民地にされました。植民地にされた人々の、悲しみと苦しみと怒りが、田中さん。あなたは、分かりますか。 向こうは、怒っていますよ。こっちは、清明(せいめい)な川の流れのように、過ぎ去った昔ことは気にせずに、と言っても、向こうは怒っていますよ。その怒りを分かる、というぐらいの 穏やかな人間で私たちはあるべきです。

6.日本には、もう敗戦後70年になるのに、アメリが軍が駐留したままです。外国の軍隊が、他の国に、長いこと居座っているのは、よくないことだ。 日本は、アメリカの属国のままです。この私たちの足元の現実をこそ、私たちは、真剣に考えなければいけない。

 今は、日本共産党でさえ、「アメリカ軍は(自国に)帰れ」と言わなくなりました。おかしいでしょう。

7.私は、街のお店で、隣りに座っていた、上品そうな中年夫婦が、「中国はイヤな国だね。攻めてきそうだから、日本も軍備をしっかり持たなければ」と言っていました。これが、今の日本の、多数派国民の、フワフワした 気分なのでしょう。 田中さんも、こちらに属すると私は判断します。

 これはアメリカの思う壺、というよりも、アメリカは、そうやって、「日本はアメリカに頼らなければ国防を出来ない国だ」と思わせ、信じこませ、洗脳しました。私、副島隆彦は、国家戦略家を自称していますから、私にとっては、アメリカの対日戦略家である リチャード・サミュエルズ Richard Samuels (MIT教授)が、好敵手です。このサミュエルズが、「日本はアメリカ軍に居てもらわなければ自分たちが危ない、と日本人に信じこませるように仕向けることが、アメリカの政策の要(かなめ)だ」とずっとこの30年間書いてきた日本研究学者(その他に、イタリアの研究もしている)だ。

 ですから、田中さん。私が、ずっと敵対して、相手にしているのは、彼らアメリカの戦略学者たちです。 

8.「 将来は中国は世界の覇権国になる国だから、」は、このとおりだと、私、副島隆彦は思います。私の予測(予言)は、当たるでしょう。そのあとの、「(だからそのことを日本は)忍耐するべきであると副島さんは言う」 と書いています。

 中国の日本支配を忍耐すべきだ、と私は書いたことはない。そういうことを書いた証拠があるなら、私の 過去の本や文章 から、正確に引用して示して下さい。田中さんが、どうして、そういう意図的な誤解をして、副島隆彦の言論を、意識的に曲解するのかを、私は知りたい。どういう勢力の言論に、今、田中さんは、感染し、洗脳されているのか。 

 だからこそ、今のうちに、中国に対して、日本がまだ優位性を持ってる、文化、芸術、工業技術、日本のすばらしい美点 などを、中国側も、よくよく知っているから、それを、将来向こうが深い恩義を感じるように、上手に与えるべきだ。

 人は、他の人から受けた恩義には、必ず報いようとする生き物です。中国とは、平等互恵で、付き合ってゆけばいい。 

 同時に、人は、人から(他国から) 投げつけられた悪罵(あくば)に対しても、深く長く記憶しているものです。そうやって相互の不用意な怒りを蓄積することになる。

 日本は、中国に攻められて、占領されて、奴隷にされるのではないか、と危惧しているのは、田中さんのように、産経新聞とか、週刊文春とかに影響された、被害妄想(ひがいもうそう)の人間たちの考えでしょう。 日本は、アジア諸国の一国として、これからも、戦争だけはせずに、生きてゆけばいい。 

 日本は、戦争に巻き込まれないようにし、巧妙に騙(だま)されて開戦に引きずり込まれるような奇怪な扇動勢力の動きを事前に察知し、十分に警戒して、その虎の口からかろうじて脱出できるように、深く考える知恵をみにつけなればいけない。

田中さんは、一度、韓国旅行をするべきです。そして、今の韓国人たちの様子を自分の目で見てくるべきです。 中国に対しても同じです。皆、穏やかですよ。

 他国を敵視して、軽蔑して、相手を見下して唾棄する、というようなことを、するのは、人間としてやるべきことではない。そういう 排外主義の右翼人間こそが、下品で卑しい人間たちです。


9. 「(将来、中国の覇権(へジェモニー)に日本は組み入れられることを)忍耐するべきであると副島さんは言うが限度があると思います」とありますが、私、副島隆彦は、他国の支配を忍耐するべきである、と書いたことは一度もない。日本は独立国であるべきだと、『属国・日本論』(1997年間)を書いて以来、ずっと主張してきました。

 だから、現状の アメリカの属国=従属国 であることから、身を振りほどいて、知恵を働かして、徐々に脱出すべきである、と書いてきました。 日本に対するアメリカの支配を認めてはいけない。 

 もし中国が 日本に攻めてきて日本を占領する、というのであれば、日本国の領土・領空・領海の中で、日本人は戦うべきです。その前に、戦争にならないで済むように、戦争の芽を摘み取ることに集中するべきです。それが、私が掲げている、アジア人どうし戦わずの 旗 です。

副島隆彦

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(資料。 私たちの会員 の 田中三郎氏の投稿 での 私への質問文 )

[1637] 中国人と韓国人を贔屓にするのでしょうか?  投稿者:田中三郎
投稿日:2014-08-16 20:31:12

 なぜ、副島さんは、中国人と韓国人を贔屓にするのでしょうか?
中国人には、靖国参拝で酷い内政干渉され、韓国人には慰安婦問題で組織だってさせていたとか、まことに聞くに堪えないことばかり言われ挙句の果てには、天皇陛下があやまらなければ、許さないとかいっている。一日本人として情けない限りです。将来は中国は世界の覇権国になる国だから、忍耐するべきであると副島さんは言うが限度があると思います。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦

「重たい掲示板」より
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/






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