「アジサイ革命」に更なる迫力を—7.29国会大包囲デモ


7月29日の「国会大包囲デモ」が、刻々近づいている。どのような抗議行動になるのか予測がつかない。抗議の意思は表明できても、大人しい示威行動で終わるのか、本当の怒りの爆発になって、市民の政治行動が、為政者にとって真に恐れるに足りるものに成長するのか。

アジサイ革命」は止まってはいけない。予定調和の中に終息してはいけない。もちろん、今の野田政権の暴政の下では、ふつうの見識を持つ市民なら、抗議を終息させるなど考えられない。

抗議行動は、多様性と参加者数が常に広がっていくことが必要だ。いかなる理由があろうとも、その自発的な拡大傾向に歯止めをかけるべきではないし、その権利はない。たとえ、権力に付け入る余地を与えることになろうとも、行動は無政府的に広がっていくことが不可欠だ。

アジサイ革命が、情報空間の中から運動として立ち上がってきたのなら、情報空間の無政府性に箍をはめるようなことはすべきではないのではないか? 抗議の歌、演奏、踊り、過激なデモ、過激なプラカードと叫び、何でもかまわないはずだ。

昨日のブログに、今の反政府運動に対する時機をえた檄文が登場した。そのブログは、「晴れのち曇、時々パリ」(2012-07-24)だ、私のよく見るブログのうちの一つである。全文はかなり長いので、一部省略して、ここに掲載させていただく。

  
オスプレイ」強制搬入に、44年前の『原子力空母エンタープライズ」の佐世保寄港が重なってみえた。
http://blog.goo.ne.jp/veritas21

(冒頭省略)

このオスプレイの岩国搬入に、私は「空母エンタープライズ」の佐世保寄港を、重ねて見てしまった。

1968年1月。

ヴェトナム戦争たけなわの時、日米安保条約自動更新を目前にして、それまでの「既成左翼」の運動であった街頭行動が、学生を中心とする「新左翼」にそのエネルギーの格が移行して行く、契機となった出来事であった。

そして、あのとき「民社党」の反対集会を皮切りに、「社会党」「共産党」そして「公明党」までが、数千人規模の反対集会を行った。

そこから、学生達へと運動の主力が移っていき、権力との物理的ぶつかり合いが始まったのであった。


今回、そこに「学生」は登場しない。

そして、既成左翼は完全に影響力を喪失してしまった。


▶社民・福島党首「日米両政府に強く抗議」、オスプレイ配備反対緊急集会で(カナコロ/見出し)

>米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備に反対する社民党主催の緊急集会が24日、国会内で開かれた。

福島瑞穂党首(参院比例、県連合代表)は「事故が相次ぐ機体をなぜ人口密集地に配備するのか。国民の反対の声を聞かない日米両政府に強く抗議する」と強調。「オスプレイは米国に持って帰るべきだ」と訴えた。

>集会では、沖縄・普天間飛行場への配備後に全国各地で低空飛行訓練が計画されていることに懸念が表明され、「危険の拡散を許すな」「政府はもっと米国と距離を置き、国民目線で命に寄り添う政治をやるべきだ」などの意見が出された。

>基地のある地方組織でつくる党基地問題連絡協議会事務局長の金子豊貴男相模原市議が、野田佳彦首相や在日米大使館に宛てて配備反対、訓練撤回を求めるはがきの投函(とうかん)を呼び掛けるなど、今後の行動計画を提起。「飛行訓練ルートに関係する人たちが広く立ち上がらなくてはならない」と訴えた。
【カナコロ/7月24日】


街頭行動では無い。

僅か数百名を、屋内集会に過ぎない。

最早、そこには何の影響力も無い。


共産党に至っては、集会すら開いた形跡がない。

単に書記長の記者会見での、批判の開陳に過ぎない有様である。


オスプレイ陸揚げ強行は許せない 市田書記局長が会見(赤旗/見出し)

日本共産党市田忠義書記局長は23日、国会内で記者会見し、米軍が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを米軍岩国基地山口県)に陸揚げしたことについて、「地元自治体をはじめ、全国に広がる反対の声を無視して陸揚げを強行したことは絶対に許せない」と表明しました。

市田氏は、山口県知事、岩国市長と市議会が陸揚げに反対し、沖縄でも県と全市町村の首長と議会が反対、全国知事会も受け入れ反対の緊急決議を採択していることをあげ、陸揚げ強行に「強く抗議する」と述べました。

市田氏は、同機の10月からの本格運用について森本敏防衛相が「日米間ですり合わせており、変更する考えはない」と述べたことにふれ、「アメリカいいなりの配備強行は許されない」と強調しました。

>「(日本政府が)どうしろ、こうしろという話ではない」との野田佳彦首相の発言について、「主権を放棄した事実上の属国宣言だ。どこの国の首相か」と批判。「陸揚げが始まりほっとしている」との森本防衛相の発言についても、「どこの国の防衛大臣かといわざるをえない」と断じました。

市田氏は、市街地で300メートル以下の飛行を禁じる航空法の適用を除外し、地上60メートルで低空飛行訓練を行う計画に触れ、「『日米安保上の権利だ』というが、そうなれば日米安保条約の是非が問われてくる」と強調しました。

市田氏は、オスプレイを運用する海兵隊自体が日本防衛とはまったく関係のない他国への殴りこみ部隊であり、安保条約下でも許されないものだが、安保条約をなくすことが米軍基地強化やオスプレイ配備を許さない確かな道だと強調。「安保条約をなくしたらどういう展望が開けるかを示したわが党の外交ビジョンを国民の中に広げ、本当の独立国といえる、憲法9条が輝く日本にしていくために全力をあげる」と表明しました。
しんぶん赤旗/7月24日】

最早、「蟷螂の斧」どころでは無く、単なる記者会見であり、共産党と言う左翼政党が、国の軍事的暴走と属国の立場の継続に、体を張って抵抗する体力も、そんな気もない事を露呈している。


44年前。

非核三原則」なる物が、守られていると信じていた国民は、原子力空母エンタープライズ佐世保港に寄港する事に、国を挙げての反対運動が起こった。

既成左翼に変わって、最前線で行動をとった学生達は、始めてヘルメットをかぶり、機動隊の厚い壁にぶつかって行った。

警棒を振り下ろし、放水車が高圧でデモ隊に放水した。

その場面をテレビで見ていた私は、呆然として何も手が付かなかった。

中核派のメンバーが、佐世保基地に侵入し成功した。


今回、搬入反対運動は、地域住民達が行った。

しかし「搬入阻止行動」は起きなかった。

(中略)

それでなくても「聞く耳持たぬ」野田佳彦政権にあって、単に反対を表明し、申し入れを行い、対岸でシュプレヒコールを行ったとて、それこそ政府は何の痛痒も感じない。

事は坦々と「予定通り」に運ばれて行くだけである。


毎週金曜日に、首相官邸前に市民が集まって「原発再稼働」反対の抗議行動を続けている。

二百名程度の規模で始まった、この抗議行動は、ネットのつながりで人々が次々と参加し、遂に10万人を数える規模にまで発展した。

しかし、ここへ来て主催者とその他の参加者の間で、ぎくしゃくした動きが起こって来ている。

「プロの運動家」色を出したく無くて、あくまで一市民の自由意志による参加の発展を考えていたらしい主催者は、警察側とのトラブルを極力恐れていた。

その結果、時間が来ると自動的に解散となり、機動隊の出動車からの「解散呼び掛け」がなされ、それを「警察と協力している」ように捉え対置部参加者達に、違和感が起こったようだ。

それに、もっと運動を拡大し、影響力を持たせる為には「組織」の参加を拒むべきでは無いと、主張し始めた。

組織の旗の林立に対する賛否。

子供連れのお母さんや、お年寄りでも気軽に参加出来る抗議行動に、という主催者。

そこで、「デモ開催の許可」を合えて取り付けない。

あくまで市民の自発的集まりに依る抗議行動にしたい。

その意向を組んで、警察も強制排除などは行わず、整然とした参加者の行動と整然とした警備陣の、協力体制に依る事故の無い集会にする…。

そして、そこには自ずと限界が見えて来る。

第一、野田佳彦には「音」に過ぎない、政治的に影響力が限定された物に留まってしまう。

既成左翼や労組の参加を認めるべきか。


同じ様な傾向は、「反原発住民投票」を求める運動にも、見られる。

東京で33万筆の署名が集まった所で、有権者1千万人の内、都知事の浮動票以外の支持層、各種労組関係の組織票を考えると、原発即停止など不可能である事も確かだ。

この種の反政府運動は、一定の力を持たねば意味が無い。

そして、力を持たせる為には、動員数は多い程良く、支援層は多岐に及ぶ程良いのだ。

オスプレイ原発も、一番動員力の有る層が核となって、力を集中しなければ、影響力は持てない。

その背景となるべき「反政府組織」が、今や存在していないのが、日本の悲劇である。

つまり、反政府運動の中核となるべきは、野党と労組と学生である。

目下、日本の政界に、影響力の有る野党は存在しない。

自問党と公明党は、政府与党「民主党」と野合してしまった。

反政府勢力の座を、放棄してしまったのだ。


方や、労組はといえば。

目下、日本の労働界に、影響力の有る労組は存在しない。

「連合」は経団連の別働隊に過ぎず、労働者の田目の戦う組織では無いのだ。


そして、学生と来たら。

語るに落ちた代物でしかなくなった。

彼等に取って政治活動など、毛筋程も考えられない事なのだ。


これで、はたして「国民の力で」政府の悪政を止めさせる事が出来るだろうか。

たとえの野田政権が倒れようと、それに取って代わる「国民の受け皿」は無かった。

自民党が比較第一党に返り咲き、公明や民主の残党と連立を組むのであろう。

と、情けない想いをさせられていた。

もしくは、マスコミの風雲児「橋下徹」が、連立の要となって、ハチャメチャな政権になるのが関の山。



幸い「国民の生活が第一」が立ち上がった。

少なくとも、受け皿は出来た。


しかし、オスプレイに代表される「沖縄基地問題」を解決するには、更に「原発稼働」を止めるには、そして「消費税増税」を反古にするには、「国民の生活が第一」に政権を取らせなければならない。


何れも、今日明日の事では無いが、そう遠い事でもない総選挙に向けて、国民の一人一人が自覚し、毅然とした行動をとれないと、目的を達するまでに時間だけが過ぎて行く事になる。


いまは、40年前では無い。

70年安保で、国道246青山通りで機動隊にガードレールとジュラルミンの楯とに挟まれて押しつぶされ、圧死する寸前の経験をした私としては、今の時代の方がずっと危機に瀕していると思われるのに、何故国民運動が広範囲に広がらないのか、歯がゆくてならない。

とはいっても、何かのきっかけで火がつけば、国民は覚醒するものだ。


放射能に依る被害は、眼に見えぬ所でドンドン広がっている。

明日の国民全員の生命と健康とを、最悪の状態から守り、被害の拡散を食い止める為には、最早のんびりしていられないのだ。

TPP参加も、一旦表明してしまったら「脱退出来ない」と言う、まるで「ヤクザの舎弟関係」の様な理不尽な物であるらしい。

その参加を、8月にも表明したいと野田佳彦は考えている。

オスプレイは、高度300メートルと言う、超低空飛行で日本全国での試験飛行を行う予定である。

何もかも、待った無し。


行動を起こそう。

声をあげよう。

一人で出来る事を始めて、周囲の誰も彼もを引き込もう。


国民が声をあげ無い限り、霞ヶ関と永田町は国民の事を思い出す事は無い。


彼等に、国民の存在を思い出させ、国民の怒りを実感させて、国民の声を聞かせる為には、国民の為に働く政権を造る事と、休む事無く声をあげ続ける事である。


奴らに、目にもの見せてやらねばならない。


42年前、10月21日「国際反戦デー」に集う学生達を、新宿に於いて機動隊が強制排除しようとした所から、山手線の線路ほぼ全てを学生達が占拠し、大混乱となった。

国家転覆の試みなどを想定してあった「騒乱罪」を、政府は始めて適用した。

その頃までが、学生を中心とした「新左翼運動」の頂点であった。

以後は、国家権力に圧倒されてその存在が弱まって行くごとに、党派闘争を繰り返し、内ゲバの応酬となり、最終的に「連合赤軍」に依る「浅間山荘事件」で、この種の運動は終焉を迎えた。


そうなってはならない。


脱原発の署名運動も、私は最初から利敵行為になる恐れが多い事で反対だったが、今や仲間割れで言い争っている。

首相官邸前の抗議行動も、その在り方をめぐて、不協和音が起こっている。


しかし、目的をたがえてはならない。

敵を見失ってはならない。

仲間割れは、敵権力の思うつぼと心得よ。

小異は捨てて大同に就け。

そして、国民のエネルギーを弱める事無く、反国民的政治勢力に集中させる事を、考えよ。


もう、ここに至って、ノンポリは許されない。

行動を起こそう。

立ち上がろう。

野田佳彦を打倒しなければ、何も解決しないのだ。


(追加)

7.29国会包囲デモの情報、ならびに当日予定は、以下を参照することを薦めます。
http://coalitionagainstnukes.jp/
http://www.labornetjp.org/news/2012/0729info

なお、当日、夜7:00からの「国会包囲」キャンドルチェーンに参加するためには、自前のローソクを用意したほうがよさそうです。僕はそうします。



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